写真提供:金沢市 「長町武家屋敷跡」
「寺島蔵人邸」の記事でも書きましたが、ネットで「金沢」「武家屋敷跡」をキーワードにして検索しますと、「長町武家屋敷跡」&「野村家」が検索結果の上位を独占します。
観光客の方から、「武家屋敷跡はどこですか?」とか、「武家屋敷跡に行きたいのですが」とたずねられると、金沢市民のほとんどが、「武家屋敷跡なら長町ですね」とか、「武家屋敷跡なら、香林坊バス停から歩いて5分ほどの所にありますよ」と答えてしまいますので、検索結果は当然の結果といえます。
今回はその「長町武家屋敷跡」「野村家」の記事です。
【長町武家屋敷跡の概要】
江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚になる「長町武家屋敷跡」には、かつて中級武士が多く住んでいました。今でも、昔ながらの土塀や石畳の小路が残り、趣のある藩政時代の面影が維持されています。
「長町」という名称は、加賀八家の一つ、前田家の重臣である長氏の屋敷があったことが由来となっています。
「武家屋敷跡」にある観光スポットとして有名な「野村家(のむらけ)」は、屋敷を公開しており豪華な建物と美しい庭園を楽しむことができます。
敷地内に見事な池泉回遊式庭園があり、修復された藩政時代の長屋門を一般公開している「旧加賀藩士高田家跡」も有名な観光スポットです。
足軽の職務や日常生活を知ることができ、足軽屋敷を移築再現した「金沢市足軽資料館」や、本加賀友禅の工芸品と着物が多数展示されている「長町友禅館」も訪れたい観光スポットになっています。
事前の予約が必要ですが、「長町武家屋敷休憩館」に常駐の観光ボランティアガイド「まいどさん」がいますので、「長町武家屋敷跡」を深く楽しむことができます。
また、「長町武家屋敷跡」といえば、「こも掛け」が有名です。伝統ある町並みの土塀を雪や凍結から守るために行われるのですが、金沢の冬の風物詩として、テレビなどが毎年とりあげています。そして、この「こも掛け」を見るために多くの観光客が訪れます。
なお、「長町武家屋敷跡」から、繁華街の香林坊に抜ける「鞍月用水(くらつきようすい)」沿いには割烹、郷土料理店、カフェなどが立ち並び、たくさんの人で賑わっています。
【長町武家屋敷跡の蘊蓄(うんちく)】
ちょとした蘊蓄ですが、「長町武家屋敷跡」の塀の高さが同じではなく高低があるのは加賀藩時代の武家の身分や禄高によるものです。
「長町武家屋敷跡」の塀の下部は石垣になっていますが、これは金沢城の石垣にも使われている戸室石が使われています。
また、蘊蓄中の蘊蓄と言えば、「長町武家屋敷跡」の塀の上の瓦の豆知識です。というのも、「長町武家屋敷跡」の塀の上の瓦は黒光りしています。
「長町武家屋敷跡」の瓦は、素焼(すやき)ではなく「九谷焼(くたにやき)」の釉薬(ゆうやく)を使って焼かれているので、黒光りしているのです。
全国的にも有名な石川県の「九谷焼」を活用している点が流石ですね。
【長町武家屋敷跡の紅葉】
写真提供:金沢市 「長町武家屋敷跡」
「長町武家屋敷跡」は石川県金沢市の紅葉スポットです。
紅葉は例年11月中旬から11月下旬が見頃です。
「野村家」や「旧加賀藩士高田家跡」の庭園の紅葉をはじめ、長町武家屋敷跡に映える紅葉と雪吊りとの組み合わせの美しさは、晩秋ならではの穏やかで、趣がある風景です。
秋の心地良い景色に、いかにも加賀百万石の武家としての優雅さや栄華を感じてしまいます。
今年の秋は、紅葉や雪吊りを見ながら、いかにも金沢らしい秋色に染まる武家屋敷跡を散策してみてはいかがですか。
【長町武家屋敷跡 野村家】
写真提供:金沢市 「野村家」
「長町武家屋敷跡」で唯一、一般公開されている屋敷が、「前田利家(まえだとしいえ)」に仕えた「野村伝兵衛信貞(のむらでんべえのぶさだ)」の屋敷跡である「野村家」です。豪壮な屋敷と風情のある庭園は世界的にも認められており高い評価を受けています。
「野村家」は代々奉行職を歴任しましたが、武家制度の解体とともに屋敷の住人は変わり、現在の建物は「加賀大聖寺藩(かがだいしょうじはん)」の「北前船(きたまえぶね)」の豪商、「久保彦兵衛」の屋敷を一部移築したものです。
「上段の間」、総ヒノキ造りの格天井やギヤマン入りの障子戸、加賀藩のお抱え絵師による襖絵などが見どころです。
庭園には曲水や落水、灯篭などが美しく配置され、樹齢400年以上の山桃やシイの古木が歴史を物語っています。
写真提供:金沢市 「野村家」
「野村家」は、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」の格付けで2つ星に選ばれています。また、米国の庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」誌の日本庭園ランキングでも3位に選ばれています。海外からの観光客が多いのも納得ですね。
写真提供:金沢市 「野村家」
野村家の玄関に飾られている鎧は、1584年(天正12年)に加賀・能登・越中三国の要ともいえる、能登国「末森城(すえもりじょう)」(石川県羽咋郡宝達志水町)で行われた攻城戦で、野村氏が身に着けていた鎧です。
なお、「野村家」は人気スポットですので、ゆっくり楽しみたい方は朝がおすすめです。
(入館料金)
大人550円、高校生400円、小中学生250円
(営業時間)
4~9月:8:30~17:30
10~3月:8:30~16:30
(入館は閉館の30分前まで)
(休館日)
12月26日・27日、1月1日・2日
【長町武家屋敷跡へのアクセス】
(車)
金沢駅から約10分。
金沢西ICから約15分、金沢東IC・金沢森本ICから約20分。
(駐車場)
なし。付近に市営観光駐車場あり。
(バス)
城下まち金沢周遊バス・兼六園シャトル・北陸鉄道路線バス・西日本JRバス「香林坊」バス停から徒歩約5分。
まちバス「香林坊大和・アトリオ」「香林坊東急スクエア・日銀前」バス停から徒歩約5分。
金沢ふらっとバス長町ルート「長町武家屋敷跡」バス停からすぐ。
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