【年金の損得/65歳ハガキ】繰下げしないが正解?

【年金の損得/65歳ハガキ】繰下げしないが正解?

当ブログは雑記ブログですので、記事も老若男女を対象とした内容になっています。今回は年配の方向けに年金の「65歳ハガキ」についての記事です。

「65歳ハガキ」とググルと650万件がヒットします。実際、老齢年金の窓口相談でも上位にくるテーマで、個人的にも顧問先の役員や社員さんから相談されることが多いです。

「65歳ハガキ」って何?

【年金の損得/65歳ハガキ】繰下げしないが正解?

国の公的年金である「特別支給の老齢厚生年金」の支給開始年齢は、60歳から65歳に段階的に引き上げられている途中で、最終的には男性が昭和36年4月2日以後生まれから、女性が昭和41年4月2日以後生まれから65歳支給となります。

年金の制度上、「特別支給の老齢厚生年金」は65歳で失権します。

65歳からは請求することで、「本来支給の老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」が新たに決定されますので、65歳の誕生月に「65歳ハガキ」が送られてきます。

「65歳ハガキ」では、65歳からの請求か繰下げ請求か、いずれかを選択します。

もうちょい詳しく言いますと。次の4通りになります。

1/65歳から「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」をもらう。
2/65歳から「老齢厚生年金」をもらい、「老齢基礎年金」は繰下げする。
3/65歳から「老齢基礎年金」をもらい、「老齢厚生年金」は繰下げする。
4/65歳からもらわず、「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」を繰下げする。

1は繰下げ欄に何も印せずに投函、2と3は繰下げを希望する年金に印をして投函、4は投函不要です。

「本来支給の老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」を65歳から受給したい方は、誕生月に必要事項を記入して返送すると、スムースに切り替えが行われます。

誕生日の翌月分から対象になります。例えば、5月生まれの人なら6月から対象になりますので、6月分と7月分が支払われる8月から年金が増えます。

本来請求と繰下げ請求はどちらが得?

【年金の損得/65歳ハガキ】繰下げしないが正解?

繰下げ請求のメリットは1か月繰下げすることで0.7%増額します。増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007となりますので、70歳まで繰下げすれば、60月×0.7%=42%増となります。

繰下げ請求のデメリットは、請求するまで年金が停止し、受け取れないことです。

色々なケースがありますが、70歳まで繰下げした時のケースを単純に計算すると、次の通りになります。

【計算例】

1年の年金額が100万円の方が70歳で繰下げ請求した場合。
年金額=100万円×1.42=142万円。年額42万円増えることになります。
でも、1年100万円×5年間=500万円を受取っていません。

それでは、この500万円の元を取るには何年かかるか計算してみましょう。
500万円を増えた年額42万円で割ればいいだけですので、
500万円÷42万円=11.904年となり、11年と11月(約12年)で元がとれることになります。70歳での繰下げ請求なら、82歳でようやく元が取れる計算です。

えっ、何でそのような計算に?と思われた方は、65歳から毎年100万円ずつ受け取るケースと70歳から毎年142万円ずつ受け取るケースとの累積額を計算してみて下さい。上の計算と合致します。

今、報道されている75歳繰下げ請求も原理は同じです。75歳で繰下げ請求すれば、1.84倍に増加しますが、元を取るには(100万円×10年間)÷84万円=11.904年(約12年)です。75歳での繰下げ請求なら、87歳でようやく元が取れます。

まあ、長生きできるかどうかはその方次第なので分かりませんが、繰下げ請求にはこのように年齢的なリスクがあります。

そして、加給年金が付く人だと元を取る期間はさらに伸びます。

また、繰下げ請求により年金額が増えることで、所得税、住民税、国民健康保険、介護保険などを計算する金額も増えますので注意が必要です。

結論として、一般の方については65歳の本来請求をおすすめします。

まあ、年金は雑所得として所得税がかかりますので、「ただでさえ役員報酬の税金などが大きく困っているのに、年金を受けとればさらに色々増えるので今は受け取りたくない!」という役員さんは別ですが(笑

制度上の注意点など

注意点は色々あります。

1/遺族年金や障害年金の受給権のある方は、そもそも繰下げはできません。
2/障害年金を受け取っている方は65歳で選択届が必要になります。
3/基礎年金を繰上受給している方は基礎年金を繰下げできません。
4/厚生年金は報酬との調整で停止されている部分は増額されません。

「65歳ハガキ」に係る説明を簡単に書きましたが、上記の制度詳細や他の注意点などについては、必ず年金事務所や街角の年金相談センターで確認のうえ手続き願います。

※この記事に掲載されている情報については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。

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