画像提供:石川県金沢城・兼六園管理事務所 「徽軫灯籠(ことじとうろう)」
兼六園は昔から日本三名園として全国的に有名で人気のある名園ですが、北陸新幹線の開通でさらに人気が高まっています。
そして、近年では「兼六園」、「近江町」、「ひがし茶屋街」、この3点セットが金沢観光の人気コースの定番になっており、今後もこの傾向が続くと思われます。
個人的には兼六園が有料になる前から数え切れないほど訪れていますが、紅葉だけではなく、「春」「夏」「秋」「冬」いずれの季節においても多彩な表情を織りなす魅力いっぱいの観光スポットです。
各テレビ局も1年を通して、兼六園の話題を取り上げており、石川県では季節の代表的な指標となっている観光スポットです。
なお、今回は紅葉情報に特化した記事ですので、残りの春夏冬の兼六園の魅力については割愛し、別の記事で語りたいと思います。
これは個人的意見ですが、春はあまりにも桜の素晴らしい眺望が圧巻すぎて桜花に目も心も奪われがちで、春らしく「動的な感動」をダイレクトに感じるのですが、秋の園内は静かでのんびりとした「寂(さび)の感動」を感じます。
「秋の一日、金沢で穏やかな時間をすごしたい!」という方は、もの静かで趣のある秋の兼六園を来訪し、奥深く豊かな情景を求めてみてはいかがですか。
【兼六園の概要】
写真提供:金沢市 「兼六園のライトアップ」
日本三名園の一つである兼六園は石川県金沢市の街中にあり、日本の特別名勝に指定されています。
兼六園という園名は、松平定信が「洛陽名園記」を引用し、「宏大(こうだい)」「幽邃(ゆうすい)」「人力(じんりょく)」「蒼古(そうこ)」「水泉(すいせん)」「眺望(ちょうぼう)」の6つの景観を兼ね備えていることから命名しました。
これだけだとよく分かりませんね。以下にウンチクとして簡単に書いておきます。
宏大:(広く大きく)作ろうとすると、
幽邃:(奥深い静けさ)が少なくなる。
人力:(人の手で作られた人工美)が入り過ぎれば、
蒼古:(古びた趣)が乏しくなる。
水泉:(滝や池)が多ければ、
眺望:(見晴らし)が悪くなる。
「洛陽名園記」では、このそれぞれ相反する六つの景観を兼ね備えているのは「湖園」という名園だけであるとしています。そして、兼六園という名称もまさにそうであるという理由で名付けられました。
このウンチクを意識して兼六園を散策されると、よりその素晴らしさが伝わってくるのではないでしょうか。
形式としては、江戸時代の代表的な「廻遊式(かいゆうしき)」とよばれる庭園で、広大な庭のなかに人工的に大きな池や山を作り、眺望や休息のための小形の建物や茶屋を点在させ、それらに立ち寄りながら庭園全体を散策できるようになっています。
広い庭園内を歩きまわって様々な位置から眺めを楽しむ庭園ですから見どころが多いのですが、こと紅葉情報に特化すれば、必見ポイントがありますので、そのスポットに焦点をあわせ記事にしていきたいと思います。
入園料は大人320円、小人100円ですが、以下の方は入園料が無料になります。入園料の免除に関しては以下のように規定されています。
・65歳以上
公的機関が発行する運転免許証・保険証等で年齢証明の提示が必要です。(コピー可)
・障がい者
身体障害者手帳、精神障害保健福祉手帳、療育手帳の提示が必要です。(介護者1名免除)
・学校行事等
小学校、中学校、特別支援学校(特別支援学校は高等部を含む)による行事については、
兼六園入園願、菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓入館願を学校長名で1週間前までに提出すれば免除となります。
・その他
生活保護施設、身体障害者更生養護施設、児童福祉施設または老人福祉施設に入所している方で、その旨を証
する書面を所持する方。
・兼六園の県民観賞の日(毎週土・日曜)
石川県民で入園時に下記(※)のいずれかの書面を提示できる方。
提示書面=自動車運転免許証、身分証明書、健康保険証、健康手帳、その他(満65歳以上、または県民である
ことが確認できるもの)
期間や時間帯による入園料無料情報!
・11月3日の文化の日。
・紅葉の時期の早朝無料入園
11月1日~2月末日の期間で、6:00~通常開園時間(8:00)の15分前まで無料です。
早朝無料入園は通常(有料)開園時間の15分前には退園しなくてはなりませんが、静寂の中で紅葉の趣をほぼ
独り占めしたい方にとってはゴールデンタイムです。
・ライトアップされる紅葉祭りの2020年11月上旬~下旬17:30~21:00(ただし、通常時間内は有料)
【兼六園の紅葉スポット】
画像提供:石川県金沢城・兼六園管理事務所
兼六園は石川県金沢市にある人気の紅葉スポットです。
例年の色づき始めは11月上旬で、例年の紅葉見頃は11月上旬~12月上旬で、紅葉する木の種類はカエデ、サクラ、ケヤキなどです。
見所満載の兼六園ですが、紅葉シーズンの兼六園で必ず見ておきたい主なスポットは、「徽軫灯籠(ことじとうろう)」「霞ヶ池(かすみがいけ)と栄螺山(さざえやま)」「山崎山(やまざきやま)」「瓢池(ひさごいけ)」です。
なお、園内だけでなく、眺望台で医王山方面の山々の燃えるような紅葉を見ることができます。
眺望台は桂坂口から兼六園に入園し坂道を上り切った所です。右手に霞ヶ池、左手に医王山方面の山々が見えます。
また、お隣の金沢城公園でも鮮やかな紅葉を見れますので、お時間があればお立ち寄り下さい。「三の丸広場」や「新丸広場」の周りがおすすめです。
【徽軫灯籠(ことじとうろう)】
兼六園のシンボルである徽軫灯籠(ことじとうろう)は霞ヶ池の北岸に鎮座し、紅葉シーズンには、傍らのモミジの古木とともに、ほとんどのガイドブックがこの風景を掲載し、テレビも半端なく取り上げています。趣をもたらすように石を造形した灯籠という人工美と、モミジの古木というまさに自然の趣が融合した美しい情景が楽しめます。
桂坂口から兼六園に入園し坂道を上ると右側にありますが、高さが2.67mですので通り過ぎないよう気をつけて下さい。
形状としては、一般的な寸胴1本脚の灯籠ではなく2本脚の灯籠で、水面を照らすための雪見灯籠が変化したものだそうです。
名称については、ガイドブックやウエブ等で「琴の糸を支える琴柱(ことじ)に似ているのでその名が付いたと」言われています。
それなら、「琴柱灯籠」でいいと思いますが、どうして「ことじ」を「徽軫」としたのでしょうか?「徽軫」を「ことじ」と読める方は稀有なのに、どうして万民への分かり易さより、難読を選択したのでしょうか?
結論とすれば、残念ながらそれに係る事実を確認できる確実な資料はありません。
個人的見解ですが、日本の伝統楽器である、箏(そう・こと)は琴柱(ことじ)と呼ばれる可動式の支柱で弦の音程を調節するのですが、中国の古琴(こきん)には琴柱が無く弦を押さえる場所で音程を決めます。
古琴は「徽」と呼ばれる13ある印に従い、左指で弦を押さえて右指で弾きます。また、「軫」という琴の弦の先端を通した木製の部分品のねじり方で、弦を強くしめつけたり、弱めたりして音高を調節します。
つまり、形状は「琴柱」ですが、兼六園の名称が中国の古典を引用したのと同様、「琴柱」という部品の機能を中国の古琴から見出し、「徽」と「軫」を用い「徽軫灯籠(ことじとうろう)」と読ませたのではないかと思います。あくまで私論です。
そんな事を考えながら眺めると、一味違った情景になりますよ。
配信:石川県土木部公園緑地課 「兼六園ライブカメラ」
【霞ヶ池(かすみがいけ)と栄螺山(さざえやま)】
霞ヶ池(かすみがいけ)は兼六園で一番大きな池で、水辺に見える紅葉が美麗です。池の周囲を回遊すれば、兼六園の様々な秋の表情を目にすることができます。
栄螺山(さざえやま)は、霞ヶ池を掘り広げ時の土で盛り上げた山で、その形がサザエの殻に似ているので栄螺山(さざえやま)と呼ばれています。
栄螺山に上ると、霞ヶ池が一望できますので、湖面に映る何ともいえない美しい紅葉を味わうことができます。
【山崎山(やまざきやま)】
画像提供:石川県金沢城・兼六園管理事務所 「山崎山」
苔の緑が美しい築山である山崎山は四季を通じて心地良いスポットなのですが、カエデ、トチノキなどが赤や黄に美しく色づく紅葉シーズンは別格で見応えがあり、別名「紅葉山」とも呼ばれています。
個人的には、これほど美しい築山はなかなかないと思います。色づいた落ち葉がまるで鮮やかな絨毯のように思えます。
なお、山崎山の入り口には松尾芭蕉の句碑があり、「あかあかと 日は難面も 秋の風」
と刻まれているのですが、石碑自体がだいぶ古くなっていますので、彫ってある文字はよくわかりません。
意味は、「吹く風は涼しく秋の気配を感じさせるのに日差しはまだ厳しい。」というような感じです。
山崎山の山腹には「御室の塔」と呼ばれる白川御影石で作られた五重の塔があります。これは、京都の御室御所である仁和寺の塔を模して作られたため、この名称があります。
また、兼六園の美しさをかもしだす重要な要素のひとつが、「曲水(きょくすい)」と呼ばれる曲がりくねって流れる小川ですが、その曲水は山崎山を出発点として、広い園内を曲がりながら霞ヶ池へと流れていきます。
【瓢池(ひさごいけ)】
瓢池は霞ヶ池より一回り小さめですが、兼六園で一番古い時代に造られたと言われており、いわば兼六園のはじまりの場所とされています。
霞ヶ池とは異なった趣があり、翠滝(みどりたき)の水音が静寂な情景に溶け込むように静かに心地良く響き渡ります。
翠滝付近で場所や角度を変えて瓢池を見ると紅葉の色合いが変わるので面白いですが、滝を正面から眺めるのが最高の紅葉風景だと思います。
翠滝と紅葉の調和、水面の紅葉と緑のコントラストを意識されながらご覧になられると、瓢池の紅葉の情景をより満喫できるのではないでしょうか。
【兼六園へのアクセス情報】
(路線バス)
金沢駅―――兼六園下下車――― 金沢城公園(石川門口)・兼六園(桂坂口)
金沢駅―――広坂下車――― 金沢城公園(玉泉院丸口)・兼六園(真弓坂口)
金沢駅―――出羽町下車―――兼六園(小立野口)
(その他バス)
兼六園シャトルバス
レトロバス「城下まち金沢周遊」号 など
詳しくは、北陸鉄道テレホンサービスセンター TEL 076-237-5115(8:00~19:00)
(タクシー)
金沢駅より 約10分
(自動車)
北陸自動車道 金沢西ICから約30分
北陸自動車道 金沢東ICから約30分
北陸自動車道 金沢森本ICから約20分
(駐車場)
兼六園は街中にありますので、近隣の駐車場利用になります。
混雑しますが、兼六駐車場の情報は以下の通りです。
場 所 金沢市小将町1-53 TEL.076-263-1814
台 数 普通車482台
営業時間 24時間(年中無休)
取扱時間 24時間
料 金 24時間 最初の1時間350円 超過30分毎150円
22:00〜翌8:00 1泊1,030円
※料金は定時・随時の改定や増税等による改定がありますので、公式ホームページにて最新の情報をご確認くださいますようお願い致します。
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