写真提供:金沢市 「松風閣庭園」
【松風閣庭園の概要】
「松風閣庭園(しょうふうかくていえん)」は、江戸時代初期に加賀百万石の筆頭家老である「本多家」の下屋敷の庭として造られました。古沼と自然林を生かした池泉回遊式庭園で、面積は約2200坪もあり、もはや大名庭園と呼べるレベルです。
1万石以上の領主を「大名」と言いますが、加賀藩では1万石以上を有する重臣である「加賀八家」と藩主「前田家」を合わせて「加賀には9人の大名がいた」と言われます。なかでも「本多家」が一番多く5万石です。現在価値にすれば、なんと約25億円!です。
「本多家」の名前は地名としても残っており、ここら一帯が「本多町」という町名になっています。しかも、1丁目から3丁目と範囲はかなり広いです。
2008年(平成20年)5月に「松風閣庭園」が金沢市指定名勝に、2003年(平成15年)7月に「松風閣」が国登録有形文化財に、2019年(平成31年)4月に「松風閣」が金沢市の指定文化財になっています。
「松風閣庭園」には、かつて「辰巳用水(たつみようすい)」から「霞ヶ池(かすみがいけ)」に導水されていた水路跡がのこっています。「霞が池」という池の名前や、その池に浮かぶ「蓬莱島(ほうらいじま)」という島の名前は「兼六園」の池や島と同名称です。
それもそのはず、「松風閣庭園」を参考に造られたのが、「兼六園」なのです。いわば、「元祖兼六園」ですね。
「松風閣庭園」という名称につきましては、1907年(明治40年)に「旧広坂御広式御対面所」が現在地に移築された際に「松風閣」と改称され、庭園も「松風閣庭園」と呼ばれるようになりました。
【松風閣庭園の紅葉】
「松風閣庭園」は石川県金沢市の穴場の人気紅葉スポットです。
「松風閣庭園」の紅葉は例年10月下旬から11月下旬が見ごろです。
庭園内に入った所から鮮やかな紅葉が迎えてくれ、庭園のそこかしこが鮮やかな紅葉で彩られます。
特に、「霞が池」絡みの紅葉が綺麗です。
「霞が池」の水面の上にのびている趣のあるモミジとその姿が映る「霞が池」の水鏡、散って「霞が池」の水面に浮かぶモミジ、その静的な美しさと優雅に遊ぶ鯉の動的な美しさが何とも言えない美麗な秋景色として来園者を楽しませてくれます。
また、兼六園同様、紅葉シーズンには冬の雪害対策として「雪吊り」をしますので、紅葉と「雪吊り」がある景色が金沢らしい秋の美しさを見せてくれます。
「松風閣庭園」はほとんど旅行ガイドに載っていませんし、観光ルートにもなっていませんので、紅葉シーズンでも混み合うことはありません。街中にあるにもかかわらず、静寂な大名庭園で、まさに金沢では穴場の紅葉スポットです。
金沢市民でも知らない人の方が多いと思います。というのも、2011年(平成23年)10月に「鈴木大拙館(すずきだいせつかん)」がオープンしたので、見ることができるようになったのです。
「松風閣」は一般公開されていないので中に入れないのですが、「松風閣庭園」の紅葉は絶景ですので、中村美術館や鈴木大拙館を訪れた際には是非寄ってみることをお勧めします。
【松風閣庭園へのアクセスや料金など】
(入場料)無料。
(バス)
「北鉄バス」で、「本多町」バス停下車、徒歩4分。
「城下まち金沢周遊バス」で、「本多町」バス停下車、徒歩4分。
(車)
一般駐車場はありませんので、「金沢歌劇座有料駐車場(徒歩4分)」などの近隣駐車場等を利用して下さい。
(「松風閣庭園」への行き方)
場所は北陸放送(MRO)の裏になります。
石川県立図書館と石川県社会福祉会館の間の道を入っていき、西口から「中村記念美術館」を通り、「鈴木大拙館」がある南口から「松風閣庭園」に入ります。
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