那谷寺は石川県でも3本の指に入る人気の高い紅葉スポットです。紅葉の時期には広い境内が美しい紅葉に包まれ、毎年紅葉シーズンになるとテレビ各局がその美しさを取り上げます。
私も何度か訪れているお寺であり、ここも「穏やかな時間をすごしたい!」という方におすすめの紅葉スポットです。
なお、那谷寺は2015年にフランスの旅行ガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に南加賀から初めて掲載され、一つ星に格付けされたお寺でもあります。
すぐ近くに粟津温泉(あわずおんせん)がありますので、秋の行楽で一泊旅行を考えている方は、候補地の一つとして検討されてみてはいかがでしょうか。
何と言っても、粟津温泉は那谷寺を開創した泰澄大師が、白山権現のお告げによって発見したと伝えられていますから。
【那谷寺の概要】
Ⓒ石川県観光連盟
那谷寺は石川県小松市那谷町にあります。2017年に開創1,300年を迎えた那谷寺は「白山」を信仰するお寺です。
那谷寺の名称ですが、公式サイトによれば、奈良時代に泰澄法師が開創し、当初は「岩屋寺」という名称だったそうです。
その後、平安時代に花山法皇が西国三十三所の那智山と谷汲山からそれぞれ一文字ずつ「那」と「谷」を取り、那谷寺と改名されたそうです。
落ちるモミジの葉が地面に落ちきる音さえ聞こえるような静寂に満ち溢れた広い境内は、23万平方メートルもあり、重要文化財が点在しています。
また、那谷寺を印象づけている「奇岩遊仙境」ですが、紅葉時には紅葉と常緑葉の美しい彩りと、白色の凝灰岩との鮮やかなコントラストによる眺めが素晴らしく、那谷寺の紅葉一番スポットとなっています。
例年の色づき始めは11月上旬で、例年の紅葉見頃は11月上旬~11月下旬で、紅葉する木の種類はイロハモミジ、ヤマモミジ、ハウチワカエデ、ドウダンツツジなどです。
拝観料は大人(中学生以上)600円、小学生300円、幼児無料ですが、障碍者手帳を提示されると本人300円、つきそいの方1名限り300円となります。
なお、重文書院/庭園の特別拝観は、一般拝観+200円(幼児・小学生無料)です。
毎月18日の観音様ご縁日に「特別朱印」を御朱印料500円で入手できます。
年中無休ですが、営業時間は3/1~11/30の期間は9:15~16:00、12/1~2/28の期間は9:15~16:00です。
【奇岩遊仙境】
Ⓒ石川県観光連盟
那谷寺を代表する紅葉観光スポットである「奇岩遊仙境」の名称については、1689年に明の黄檗山高泉禅師が那谷寺を訪問、「自生山那谷寺記」を記し、境内の岩山を「奇岩遊仙境」と名付けたとされています。
この岩山は太古の海底噴火の跡が、永い時の流れのなかで、風化や波による浸食さらされながら創り出されたもので、平成26年に「おくのほそ道の風景地」として新たに国名勝に指定されました。
「奇岩遊仙境」の紅葉は見る場所によって、美しさも変化するのですが、展望台へとつながる楓月橋(ふうげつきょう)、展望台、展望台の上にある「鎮守堂」から那谷寺屈指の景勝を楽しむことができます。
何年か前までは小さな子供や高齢者の方など、誰でも「奇岩遊仙境」を登ることができ、私も登ったのですが、手すりなどがなく意外とスリリングでした。残念ながら、今は安全と景観保護のため立入禁止となっています。
【那谷寺の展望台付近の眺望】
展望台付近の眺望は素晴らしく、必見の紅葉スポットです。逆にいえば、この紅葉スポットからの眺望を経験しないで那谷寺の紅葉を語ることはできません。
ただ、そうは言うものの、けっこう上りは体力的にキツイですので、無理せずにマイペースでお願いします。
ということで、重文の「三重塔」を見学した後、朱色に塗られた「楓月橋(ふうげつきょう)」を渡るのですが、橋というより通路という感じなので、何気なく通り過ぎてしまいがちです。
しかし、この橋から見る眺望は、那谷寺屈指の景勝なので見逃さないようにして下さい。なんといっても寛永時代に前田利常公が計画し、現代になってようやく実現したものですから。
「楓月橋」を渡りきると、いよいよ展望台です。展望台からの「奇岩遊仙境」の眺めは心に強く刻まれる素晴らしさで、那谷寺の境内で最も美しい眺めと称賛されています。
その展望台の上に「鎮守堂」があります。秀麗な白山の神様であられる白山妙理大権現をお祀りしています。ここまでせっかく登ってきたのですから、しばし那谷寺のうんちくを思い出し、歴史を感じながら穏やかな時間を楽しんでください。
【芭蕉の句碑】
山中温泉同様、那谷寺も芭蕉が訪れており、本堂への参道の反対側に芭蕉句碑が有ります。
「石山の石より白し秋の風」という俳句です。
それでは、観光用にこの俳句にかかる蘊蓄(うんちく)を覚えておきましょう!
まず、俳句に詳しくない方でも、「石山の石より白し」までは理解できると思います。「どこかの石山の石よりも白い色をしている」と普通は思いますよね。
しかし、「石より白し秋の風」については、「秋の風が石より白いって、一体どういうこと?」と疑問を持つのではないでしょうか?
簡単に言いますと、中国の陰陽五行説に由来しており、「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」と、季節に色彩を紐づけて考えられていたのです。
ここから、「秋の風」=「白風」=「冷ややかに感じる風」となり、「ここの秋の風(白風)は、石山の石よりも白々としていて冷ややかに感じる」という意味になります。
但し、「石山」の解釈が専門家の中で二分されており、「石山」=「近江国の石山寺」と「石山」=「那谷寺の石山」の二説がありますが、いずれも決定打に欠け、どちらが正しいかは「芭蕉に聞いてみないとわからない」という状況です。
【那谷寺へのアクセス情報】
(車)
富山方面から▶小松ICで降りて約30分、福井方面から▶加賀ICで降りて約30分
駐車場は乗用車250台、大型バス40台
(バス・タクシー)
加賀温泉駅より▶
加賀温泉駅〜(JR)〜粟津駅〜(小松バス/粟津A路線)〜那谷寺
加賀温泉駅〜(加賀周遊バス キャンバス/山まわり線)〜那谷寺
*タクシーで約20分
粟津駅より▶
粟津駅〜(小松バス/粟津A路線)〜那谷寺
*タクシーで約10分
小松駅より▶
小松駅〜(JR)〜粟津駅〜(小松バス/粟津A路線)〜那谷寺
小松駅〜(小松バス/粟津A路線)〜那谷寺 詳しくはhttp://komatsubus.jp/
*タクシーで約30分
金沢駅より▶
*タクシーで約65分
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