写真提供:金沢市
毎年11月6日がカニ漁の解禁日で、一夜開けた7日から石川県内の鮮魚店やスーパーの店頭に、県産ズワイガニのオス「加能ガニ」、メスの「香箱(コウバコ)ガニ」の初物が並びます。
7日未明に金沢市中央卸売市場で初競りが行われ、「加能ガニ」は1万600キロの入荷があり、昨年初日より700キロ多かったそうです。また、「香箱ガニ」は2万6200キロで、2700キロ多かったそうです。
サンマなどの不漁が報じられるなか、朗報ですね♪
金沢市民の台所でもある近江町市場では、「カニ、カニ、カニ!」とか「さあ、カニ解禁や!」など、店員さんの威勢のいい声が飛び交い、「加能ガニ」は大きさによって1千円~3万円で、「香箱ガニ」は5百円~3千円で売られます。
金沢市民は自宅でゆでて食べますが、観光客の方は近江町市場内の鮮魚店でも食べられる所があります。また、買ったカニをクール便で自宅に送れますので、近江町市場でお気に入りのカニを探してみてはいかがでしょうか。
この時期の石川県は、料亭や旅館などがカニ一色になりますので、どこでも食べることができます。四季を通じて石川県は美味しいものが多いのですが、やはり冬は一味違います。
そして、今年は新ブランドのカニが登場しました。黒色のタグが付いた「加能ガニ金沢」と「金沢香箱」です。
また、ズワイガニの初競りでの最高値を競う「蟹ー1グランプリ」というイベントも行われました。
というわけで、今回は「加能ガニ金沢」と「金沢香箱」という新ブランド蟹のお話です。
新ブランド「加能ガニ金沢」と「金沢香箱」
何故、「加能ガニ金沢」と「金沢香箱」という新ブランドが登場したのか?
それは「加能ガニ」という名前はインパクトが弱く、県外での知名度が低かったからです。
「加能ガニ」という名前は、14年前の公募で生まれました。私も色々と応募しましたが全滅でした。
「加能ガニ」は「加賀」と「能登」から1文字ずつとって名付けられたものです。
しかし、14年経った今でもあまり知られていません。個人的にもオスを「加能ガニ」と呼ぶ知人はいませんし、単にズワイとかカニと呼んでいます。逆にメスは香箱と呼ぶ人がほとんどです。香箱もズワイガニですが、何故かこんな感じになっています。
子供の頃はズワイと香箱は雄雌の違いではなく、別種のカニだと思っていたくらいです。
金沢でさえ、そうなのですから、観光客の方は「越前ガニ」や「松葉ガニ」は知っていても、「加能ガニ」を知る人は少ないと思います。
「加能ガニをごぞんじですか?」という質問に、「わからん」、「狩野英孝しか思い浮かばない」と答えた観光客の方がいたそうです(笑
そういう状況だったので、この加能ガニの名称が変わることになりました。
漁業者や市場関係者などで作る「金沢市水産物ブランド化推進協議会」が新ブランドを立ち上げることを発表したのです。
新ブランドは、「加能ガニ金沢」と名付けられ、金沢港に水揚げされるオスのズワイガニ「加能ガニ」のうち、甲羅の幅が11cm以上で、足がすべて揃っているものが選ばれます。
メスのズワイガニについても、甲羅の幅が8cm以上のものを「金沢香箱」のブランドで出荷されます。
協議会によれば、「加能ガニ金沢」や「金沢香箱」は、いずれも贈答用や特別な日の食事としての需要を見込んでいます。
「加能ガニ」や「香箱」という名前に「金沢」を付けることで人の記憶に残そうという発想です。
個人的には「金沢香箱」は高級感があり素晴らしい!と思いますが、「加能ガニ金沢」という名前は某メガバンクのような長い名前に思えますし、覚えにくいです。
オスは「金沢ガニ」とシンプルで分かりやすくした方が良いのではないかと思いますが、「加能ガニ」は公募で選考された名前ですから、マイナーチェンジにとどまったのだと思います。
蟹ー1グランプリ初代チャンピオンは40万!
6日夜、漁が解禁になったズワイガニの初競りでの最高値を競うイベントが金沢港にある「かなざわ総合市場」で初めて開かれ、1匹40万円で競り落とされたズワイガニが、初代チャンピオンに輝きました。
このイベントの名称は「蟹ー1グランプリ」と呼ばれ、石川県漁協が初めて企画したものです。
このカニは珠洲市の蛸島漁港で水揚げされ、重さが2キロ近くあり、甲羅の幅が16.5cmの大きさです。
なお、1匹40万円は、これまでで最も高い値です。
競り落とした仲買人さんは、「いくらで競り落としたか覚えてないほど興奮しました。水産業界が盛り上がっていくようにと高い値段をつけさせていただきました」と話していたそうです。
「加能ガニ」と「香箱」のあれこれ
◇漁場は石川県沿岸
ズワイガニは水温が冷たい深海に生息し、一般的に漁場は陸から離れた水深の深い場所となっています。
しかし、石川県沿岸は、すぐに海が深くなるズワイガニの生息に適した場所が点在し、獲れたてのカニをすぐに水揚げできるので鮮度も味も抜群なのです。
◇金沢市民に愛される「香箱」
「加能ガニ」を豪快に味わうのも冬ならではの楽しみですが、金沢では「香箱」の方を愛する人が多いです。昔は安かったのでオヤツとして食べていましたが、今では高い人気者になりました。
「香箱」は小ぶりで身の部分が少ないのですが、お腹の蓋に覆われた茶色の粒々の卵である外子(そとこ)と、内側のオレンジ色の未成熟卵である内子(うちこ)があります。
特に、この内子がトロリとした食感と濃厚な味わいがありますので、香箱ガニを好む人が多いのだと思います。
◇カニ漁の解禁日と漁期終了
石川県では毎年11月6日がカニ漁の解禁日で、11月7日から近江町市場や市内各所の鮮魚店に出回り、店頭が真っ赤に染まります。
漁期終了はメスの「香箱」が12月末まで、オスの「加能ガニ」は3月20日までとなっていますので、金沢への旅行は漁期を確認のうえ、お越しください。
◇美味しいカニの選び方
1/重量感があること
こんな時期なのでダメだと思いますが、手で触ってもよければ持ってみましょう。しっかりと身が詰まっているカニは、身入りが少ない若いカニと違って重量感があります。ミソがたくさん入っているものは特に重量感があります。
2/甲羅が硬いこと
カニは脱皮する毎に身体が大きくなり、身が詰まっていきます。だから、脱皮直後の甲羅の柔らかいものよりも、硬い甲羅のカニの方が身の詰まりがよいのです。甲羅が柔らかいものは脱皮したばかりで、水っぽくて身もスカスカです。
3/「カニビル」(甲羅に付く黒いつぶつぶ)があること
「カニビル」は美味しさの目印と言われています。「カニビル」はカニの甲羅に付く黒いつぶつぶで、本来は岩など硬いものに付着するものです。それがあるなら、脱皮前で甲羅が硬いということになり、身の詰まりがよいということになります。
4/色鮮やかな赤色で、つやがあること
ゆでたカニで、色が悪いものは古くなっている可能性があります。
5/「香箱」はお尻を見ること
「香箱」はお尻から中の内子が透けて見えます。赤みの強いものを選ぶと、内子がたっぷり入っていますので、要チェックです。
というわけで、今回は金沢の新ブランド蟹である「加能ガニ金沢」と「金沢香箱」のお話でした。
今日は7日ということもあり、石川県のテレビニュースはカニ一色でした。
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