【お墓参りや仏壇】お線香をあげるのは何故?

【お墓参りや仏壇】お線香をあげるのは何故?

お墓参りや仏壇にお参りする時に、どうして「お線香」をあげるのか、ご存じですか?

お盆休みということもあり、今回は「お線香」のお話を記事にしてみました。

私の親戚にお寺さんが多いこともあり、「お線香」をはじめ「お香」全般について色々聞いていますので、まとめていきたいと思います。

お香の歴史

「お香」の起源は、紀元前3000年前のメソポタミア文明の頃とされています。メソポタミア文明ではシダーが香木として世間から評価され人気となっていました。また、古代エジプトでもキフィという「お香」が重要な輸出品となっていました。

その後インドに伝わり、紀元前5世紀後半に「お釈迦さま」によって仏教が広まると、「お香」を焼く「焼香」が盛んになりました。そして、仏教とともに「お香」は各地へ伝わりました。

日本に「お香」が伝わったのは飛鳥時代で、日本書紀によれば595年(推古3年)に香木が日本に伝わったと、次のように記載されています。

「推古三年夏四月沈水が淡路島に漂ひ着けり。甚大き一圍、島人沈香しらず、薪に交て寵に焼く、其煙気遠く薫る、即異なりとして献る」

現代文ですと、大きな沈香(香木の1種)が淡路島に漂着しましたが、島の人はそれが沈香とは知らずにカマドに入れて薪と一緒に燃やしたところ、その煙が遠くまで薫ってきたので、これは不思議なことだと思い、この木を朝廷に献上した。という感じですね。

日本に「お香」が伝わったのは飛鳥時代ですが、細い棒状の「お線香」については「言継卿記」、「御湯殿上日記」、「実隆公記」などの記載から室町時代には伝来していたと考えられています。

ただ、国産の「お線香」については色々な説があり、「長崎夜話草」などによりますと、1667年(寛文7年)頃に長崎で造り始めたとされています。なお、堺で線香の形状が発明されて一般の方が使用し始めたのは17世紀後半から18世紀初期だとされています。

お線香をあげる理由

現在では「お香」の香りをかぐことで、脳内にアルファ波が発生したり、癒しの物質が分泌されて、心地よくなる効果があることから、アロマとしての人気もあります。

しかし、お香の歴史をみると今で言うところの消臭剤のようなものでした。

熱帯気候であるインドでは遺体の腐敗が早く、その死体臭を消すことが最大の使用理由でした。

そのような「お香」が仏教と一緒に日本に伝わり、お墓参りや仏壇にお参りする時に「お線香」をあげる習慣となっていきましたが、そもそもなぜ線香をあげるのでしょうか?

「お線香」をあげる理由は色々ありますが、順番に見ていきたいと思います。

お線香はご先祖様が大好きな食べ物

最も大きな理由の1つが、「お線香」はご先祖様が大好きな食べ物であるということです。

「香食(こうじき)」という、「お線香」などの「お香」を亡くなられた方が浄土で食すという考え方があるのです。

遣唐使の道昭が玄奘三蔵から手渡された「倶舎論」という仏教経典には、「死後の人間が食べるは匂いだけで、善行を行った死者は良い香りを食べる」と記載されています。そして、「中有(中陰のこと)の間、霊はお香の香貴を食べ物とする」とも記載されています。

本来、中陰はインドでの輪廻転生をする生命そのものを指し、人が亡くなってから次の新しい生へ向かうまでの四十九日間のことを言います。

それが、日本に伝わると四十九日までの期間に霊がこの世とあの世の間を彷徨い歩いているという死生観が合わさり、あの世へ旅立つ期間を指すようになったと言われています。

宗旨宗派によっては四十九日の間は故人が「お香」を食事とするため、四十九日の間は「お香」の煙を絶やしてはならず、「お香」の香気を食べることであの世へ向かうための身体が形成されると言われています。

まあ、四十九日までのお墓参りで「お香」をあげることは、故人が天国に行くまでお腹を空かせないようにと供える大切な食べ物ということですね。

故人となった人には香りが最も上等な食べ物とされていますので、四十九日だけではなく、お墓参りや仏壇にお参りする時には必ずあげて下さい。

「お線香」をあげるということは、仏様になられた故人が好きだった食べ物をお供えするのと同じことですので、故人が好きだった香りがする「お線香」をあげれば喜んでもらえますよ。

「お線香」の種類は色々あり、「白檀」や「伽羅」のような甘い華やかな香りがするものもあれば、「沈香」のようにしっとりと落ち着いた香りがするものもあります。

うちは落ち着きのある心地よい香りに上品さを感じる「沈香」が好きで、観光旅行でお寺さんに行ったときには必ず購入しています。

しかし、個人的には細長い「お線香」に固執しなくても、ラベンダーのようなアロマに使う三角錐の「お香」でもOKだと思っています。

お線香で自分の身と心を清める

次の理由は、「お線香」をあげることで自分の身と心を清めるということです。

「お線香」の香りが臭いニオイを消すことができるところから、仏教では「お線香」をあげることで汚れた心身を清めると言われています。

要は、人間は汚れやすい生き物ですから、まずは自分の身と心を清めてから仏様と向かい合いなさいということですね。

お線香は故人とのコミュニケーション・ツール

「お線香」の煙が仏様になられた故人とのコミュニケーション・ツールになります。「お線香」には、その煙を通じて仏様になられた故人とお話をするという意味があり、線香の煙があの世とこの世の橋渡しをしてくれるそうです。

ここで、ちょっと面白い「お線香」のお話をご紹介しておきます。

「お線香は故人とのコミュニケーション・ツール」というキーワードで検索すると、「サクマドロップス線香」がヒットします。

カメヤマ株式会社が2015年に発売したのですが、カメヤマの人気シリーズ「コラボ線香」過去最短の10ヶ月で4万個の販売を達成しています。「お線香」のパッケージが可愛いので自宅用だけでなく贈り物にする人もいます。

そんな「サクマドロップス」のお線香がなぜ今も売れ続けているのかという理由が、ご先祖様とのコミュニケーションツールになっているということです。

仏壇にお参りするときに使っている人は「こんなお線香があるよ。お母さんはサクマドロップス大好きだったよね」などと故人に話しかけているそうですよ。

なんたって、「サクマドロップス」は発売から100年以上経っても、老若男女年齢問わず愛され続けているロングセラー商品なのですから。

引き寄せの法則ではありませんが、感謝の気持ちは宇宙に通じるそうですから、仏壇のある方はぜひご先祖様に毎日「お線香」をあげて、生前の思い出に思いを馳せ、ご先祖様に感謝し続けば、きっといいことがありますよ。

ということで、今回は「お線香」のお話でした。

あなたも穏やかな感謝の気持ちで「お線香」をあげて、ご先祖様とお話をしてみませんか。

※この記事に掲載されている情報については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。

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