【公文書の捺印】“シャチハタ”って使える!?

“シャチハタ”が公文書などで使えない理由
一般的に“シャチハタ”とは、朱肉のいらない簡単なハンコいうイメージですが、この“シャチハタ”とは「シヤチハタ株式会社」というメーカーの名前であり、製品の名前ではありません。

「シヤチハタ株式会社」の「ヤ」は大文字で、読みは「シャチハタ」となっています。

「シヤチハタ株式会社」は、朱肉のいらないハンコを「Xスタンパー」という名前で販売しています。

ただ、あまりにも「シヤチハタ株式会社」の商品が有名なため、朱肉のいらないハンコのことを世間では“シャチハタ”と呼んでいるのです。

正しくは、「インク内蔵式ゴム印」が朱肉のいらないハンコの総称であり、他メーカーからも販売されていますので、“シャチハタ”と区別した方が良いですね。

「シヤチハタ株式会社」が扱う商品は、ハンコだけではなく、様々なスタンプ類があります。私も事業所印、住所印、受付印などを利用しており、非常に助かっています。無ければ、かなり困ることになります。

それだけ、社会生活に浸透している「シヤチハタ株式会社」ですが、今回はハンコに絞った記事になります。

どこの家にも1本はあると思いますが、“シャチハタ”って、画期的な発明ですよね。自宅では、宅配や回覧板の認印として重宝しますし、お店なんかですとスタンプ・カードにポンポンと押してくれたりと、手軽で便利なアイテムです。

でも、行政の窓口、銀行や保険会社などで書類に捺印するときに、「シャチハタは使えませんよ」と言われたことありませんか?

なぜ、“シャチハタ”は公文書などで使えないのでしょうか?

また、三本判が公文書などで使えるのは何故でしょうか?

今回の記事では、その理由を紹介したいと思います。

【“シャチハタ”の公式サイトを見てみた】

色々と考えるより、いきなり“シャチハタ”の公式サイトで「“シャチハタ”が公文書などで使えるのかどうか」を調べてみました。

すると、「よくあるご質問(FAQ)」の「ネーム印・Xスタンパー(別注品)」の項に以下のようなQ&Aが載っていました。

(Q)ネーム9を使用していますが、通常の機械彫りの認印に対して、使用目的上の制約を教えてください。(たとえば役所の住民票交付、銀行届印、領収書認等々)

(A)シヤチハタネームの使用目的上の制約(ハンコとして認められるか否か)につきましてはそれぞれの機関が定めるところにあり、弊社にて判断致しかねますが、銀行及び行政等で、公文書として使用できない局面はございます。

印字面がゴムであることが理由の1つであると思われます。

また、シヤチハタネームの発売当初(昭和40年代)、なつ印印影の滲みが大きかったことも、使用できない理由の一つと考えられますが、現在はインク並びに印字体の改良により、なつ印印影の長期保存が可能になり、又、ニジミの少ない製品となっております。

尚、製品の取扱説明書並びにカタログには「印鑑証明には使用しないで下さい」との記載を行いご理解をお願いしております。

※一部の企業並びに一部銀行の職場内におかれまして、別注印を重要印としてお使い頂いているケースもございます。

【インクがダメという理由は素人考え】

ネットでは、「“シャチハタ”が公文書などで使えない理由」として、今だに「時間が経つにつれインクが薄くなり消えるから」とか「インクがにじんで分からなくなるから」などと説明しているサイトもありますが、間違いです。

公式サイトにかかれているように、昔は「インクのにじみ」が気になりましたが、今ではインクが改良されており、印影の長期保存が可能になり、ニジミも少ないです。

現在、通常のネーム印やXスタンパーは、油性顔料系のインクが使用されていまので、乾けば耐水、耐光に優れています。

【“シャチハタ”が使えないのはゴム印だから】

公式サイトにかかれているように、「“シャチハタ”が公文書などで使えない理由」は印字面がゴムであることが理由です。

法律や規則等において、「印鑑を押す(押印する)」とされている物については、「印鑑」が必要です。

“シャチハタ”は「印鑑」ではなく「ゴム印(スタンプ)」ですから、“シャチハタ”を押しても、それは「印鑑を押した(押印した)」ことにならないので使えないのです。

それに、“シャチハタ”は、力の入れ方によっては、ゴムが変形して同一と判断できない印影になる可能性があり、硬質素材でできた印鑑と異なり、証拠能力(本人証明性)が弱いのです。

【“シャチハタ”の判例があります】

“シャチハタ”が公文書などで使えない理由

“シャチハタ”の判例としては、東京地裁平成18年3月30日判決があります。

この判決によれば、「甲第2号証(※偽造が問題となった文書のことです。)の被告名下にある被告名義の印影は、大量生産されているシャチハタ製の印章により顕出されたものであるから、そもそも、その印影により特定個人が押印したと推認することのできない性質の印章により顕出されたものであるといえ、したがって、甲第2号証の被告名下にある被告名義の印影から、それが被告の印章により顕出されたものであることや、被告が押印したことを推認することは到底出来ない。」とされています。

でも、この判例ですと「ゴム印」がダメ!といっているわけではなく、“シャチハタ”は「大量生産」されているので「特定個人が押印したと推認」できないといっています。

であれば、「100均の三文判」はどうよ?ということになります。個人的には「100均の三文判」も「大量生産」されているので「特定個人が押印したと推認」できないとの見解です。

【100均の「三文判」は使えてもリスクが高い!】

“シャチハタ”が公文書などで使えない理由
100円ショップで販売されている「三文判」は、メーカーが違えば印影も異なりますが、同じであれば、売れた後の補充は同じ印影の「三文判」である可能性があり、別の系列店に行っても同じ印影の「三文判」を手に入れることができます。

このような「三文判」を実印登録したり、銀行の届出印とすれば非常に危険です。あなたの権利が侵害される可能性が極めて高いと言えます。

【まとめ】

公文書の捺印に“シャチハタ”が使えるのかというテーマで色々確認しましたが、法律や規則等において、「印鑑を押す(押印する)」とされている物については、「ゴム印」である“シャチハタ”は使えないという結論になります。

ただし、最近では「ご本人が署名すれば押印は不要です」というサイン重視の行政書類が多くなっていますので、今後は「印鑑」自体が不要になる社会になるかもしれませんね。

それまでは、オーダーメードのチタン製ハンコを「はん蔵」にセットして使うのがベストではないかと思います。

※この記事に掲載されている画像と情報については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。

 

 

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