【どちらが得?退職後の健康保険】健保の任意継続と国民健康保険

【どちらが得?退職後の健康保険】健保の任意継続と国民健康保険

退職後の健康保険に関する相談は意外と多いのですが、どちらが得か即答できる方は少ないのではないでしょうか。

今回の記事では、退職後の健康保険について健保の任意継続(以後、健保任継とします)と国民健康保険(以後、国保とします)のどちらが得なのか、社労士の立場からご説明します。まとめて詳細に書くと逆に分からなくなりますので、できるだけ簡単に書き、細かい注意内容は最後の方に記載しておきます。

なお、その方の状況にもよりますが、もしご家族が加入されている健保の扶養家族になれるのでしたら、保険料がかかりませんので1番お得です。

健保の任意継続と国民健康保険

比較は簡単です。健保任継と国保の保険料とを比較します。

健保任継は、今支払っている保険料を2倍します。というのは、勤務している時は事業主が半分負担していますので、退職すればその分も支払う必要があるからです。

国保については、あなたが居る市町村窓口で加入したら保険料がいくらになるのか確認して下さい。

結果、保険料が安い方を選択します。

比較は以上ですが、いくつか注意点があります。

1/扶養家族がいる場合
健保で奥さんやお子さんを扶養にしている場合は、健保任継が断然有利です。国保ですと奥さんやお子さんの保険料が別途必要になります。

2/健保任継の標準報酬月額には上限があります
勤務していた時は報酬が高い人はそれなりに保険料も高いのですが、退職すれば報酬がなくなりますので、保険料を計算するときの標準報酬月額に上限が設けられています。標準報酬月額の上限は年度により変わりますが、令和2年度の健保任継の標準報酬月額の上限は、30万円となります。

3/健保任継の条件など

A:資格喪失日までに健保の被保険者期間が継続して2ヵ月以上あることが必要です。

B:資格喪失日(退職日の翌日等)から20日(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出しなければなりません。

C:保険料を納付期日までに納付しなければ資格を失います。

D:これはあまり知られていないのですが、任意継続期間の途中で国民健康保険や家族の扶養に加入する事由で任意継続保険を喪失することはできません。ですから、国保へ加入や扶養に入ることが明らかな場合は任意継続保険の申請をしないことです。よくあるのが、保険料を前納してしまったので、途中で国保に切り替えられない!というケースが多いですね。

4/翌年に再度比較します
国保の保険料は所得により変わります。退職時の保険料計算に用いられた所得と、翌年の保険料計算に用いられる所得は異なりますので、どちらが安いのか、再度比較されることをお勧めします。

健康保険法の健保任継の条文内容

【どちらが得?退職後の健康保険】健保の任意継続と国民健康保険

(第三条第四項の申出)
4 この法律において「任意継続被保険者」とは、適用事業所に使用されなくなったため、又は第一項ただし書に該当するに至ったため被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して二月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいう。ただし、船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等である者は、この限りでない。

(任意継続被保険者)
第三十七条 第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。
2 第三条第四項の申出をした者が、初めて納付すべき保険料をその納付期日までに納付しなかったときは、同項の規定にかかわらず、その者は、任意継続被保険者とならなかったものとみなす。ただし、その納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときは、この限りでない。

(任意継続被保険者の資格喪失)
第三十八条 任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第四号から第六号までのいずれかに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。
一 任意継続被保険者となった日から起算して二年を経過したとき。
二 死亡したとき。
三 保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)。
四 被保険者となったとき。
五 船員保険の被保険者となったとき。
六 後期高齢者医療の被保険者等となったとき。

以上、簡単ですが退職後の健康保険は健保の任意継続と国民健康保険ではどちらが得?という記事でした。

※この記事に掲載されている情報については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。

タイトルとURLをコピーしました