菜根譚(さいこんたん)という、中国明代末期の書籍をご存じですか?
論語、孫子、老子は知っていても、菜根譚って何?と言う方が多いのではないでしょうか。
菜根譚は洪自誠が自身の人生体験をもとに記したものを語録の形にした中国古典の一つであり、田中角栄、吉川英治、川上哲治、野村克也も処世訓の最高傑作の1つとして愛読しています。
今の世の中では、どうすれば金持ちになり成功できるかというノウハウ本があふれていますが、菜根譚はそのような一時的な処世術の本ではありません。
社会生活をしてゆく上に役立つ深い教えのような処世訓的な本であり、穏やかな人生をおくりたいと思っている方におすすめです。
最初はマンガの菜根譚
私の場合、菜根譚との出会いは十年以上も前になります。
菜根譚の思想が素晴らしいことは知っていましたが、仕事がらチョイスして読み込む中国古典はビジネスシーンで使える孫子などが中心でした。
そんな時、書店で見つけたのがマンガの菜根譚でした。
講談社の「マンガ菜根譚・世説新語の思想」という本です。
マンガで中国古典の奥深さを理解できるのだろうか?と思いましたが、読みやすく面白かったので購入しました。
マンガは奥深さよりも、ポイントが把握できるという点で、入門書としておすすめです。
その時の感想などは次の通りです。
なんだ、意外とフツーじゃないか
監修者である野末陳平さんの前書きにもありますが、「意外とフツーじゃないか。もっと奥の深い、しびれるような人生の至言はないのか」と思われる方もいらっしゃると思います。
私も最初はそう思いました。
しかし、人生の修羅場をくぐり、様々な体験を重ねれば重ねるほど、若い時には気付くことができなかった、菜根譚の名言の奥深さと味わい深さを理解できるようになります。
そういう意味では中高年向けの書籍かもしれません。
ただ、成功哲学をスタンスとして、プラス思考でドンドン道を切り開いている若い方々にも、人生の先取りができる手段として一読の価値がある書籍だと思います。
あと、文字がもう少し大きければ、もっと読みやすく、良かったのにと思いました。
小人とは争うなかれ
心に残った菜根譚の名言の一つです。
「小人(しょうじん)」とは「君子」の反対の言葉で、教養や人徳がなく品性の卑しい、どうしようもない人の事をさします。
小人とは争うなかれというのは、小人とは争うな!小人には小人にふさわしいケンカ相手がいる!ということです。
数年前に爆発的に売れ、話題になった「頭に来てもアホとは戦うな!」という本をご存じですか?
そこには、限られた人生の財産を無駄使いするなという旨が書かれていました。
限られた財産とは、時間とエネルギーそしてタイミングのことです。一度きりの人生をアホと戦うことで浪費するなということです。
まさに、そのような処世訓が大昔からあったのです。
この菜根譚の名言を知った時、なるほど!と思いました。
頭にきても、小人には小人の相手がいる!と対処すれば、時間の無駄遣いを防げますからね。
それ以外にも、人生を穏やかに生きる様々な名言がありますので、一読されることをおすすめします。
まずはマンガで(笑
新たに2冊の菜根譚を購入
最近、仕事も一段落ついたので、もう少し菜根譚を詳しく読みたいと思い、レビューの良さそうな書籍を2冊購入しました。
菜根譚コンプリート(誠文堂新光社)と菜根譚 (岩波文庫)です。
前者はじっくり熟読用に机上に置き、後者は持ち歩き用に購入しました。
菜根譚コンプリート(誠文堂新光社)
「菜根譚」という名称ですが、「人よく菜根を咬みうれば、すなわち百事なすべし」という儒者の言葉を引用して、名付けられたとされています。
まあ、じっくりと噛みしめてこそ味わいが心身に染みわたるということです。
菜根譚コンプリートは部分訳ポイントだけの本ではなく、全文を原文、書き下し文とともに網羅した数少ない書籍です。
公式説明では、次のように述べられています。
「本書では全文の現代語訳、書き下し文、原文に加え、【一文超訳】を掲載。全文をじっくり読み込むことができる上に、テーマは何か、主旨は何かが一目で把握でき、格言のように心に刻まれます。だから、「菜根譚」の理解が飛躍的に向上します。また、主要な人名や語句には懇切丁寧な注釈を入れた、現代の完全版です。」
私の感想は、すごく読みやすい!でした。
説明が丁寧で分かり易いので、レビューどおりスラスラ読めて、内容が頭に入ってきやすい本です。
論語、孫子、老子についても、野中根太郎訳のコンプリートシリーズがあるようですので、購入したいと思います。
菜根譚 (岩波文庫)
菜根譚コンプリートは大きいので、持運び用に菜根譚 (岩波文庫)を購入しました。
レビューどおり、文庫版ですが読みやすかったです。
継続は力なりではありませんが、菜根譚を毎日見て実践すれば、人生は今以上に穏やかなものになると思います。
菜根譚には357個の処世訓がありますので、毎日1訓とすれば約1年で終了です。
外出中の空き時間の読書ですと、月に何回か読めそうな内容ですし、週末の一気読みも有りかと(笑
ちなみに、1日の始まりに一訓ずつ読み、3年が経ったというレビューや、順に読む本ではないから、気楽にくじ引きのように当たったページを読むというレビューがあります。
というわけで、今回は人生を穏やかにする菜根譚のお話でした。
※この記事に掲載されている情報については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。