辰口温泉の「まつさき」は石川県が誇る文豪の泉鏡花ゆかりの宿として有名です。
ミシュランガイド富山・石川(金沢)2016特別版でも、和倉温泉の加賀屋と同じく「快適度4(旅館マーク4つ)」の旅館です。
「快適度4(旅館マーク4つ)」の評価は「最高級の快適」です。石川県の温泉旅館では該当旅館は14軒あります。
ちなみに、石川県の温泉旅館では「快適度4(旅館マーク4つ)」が最上位となっています。
石川県といえば、和倉温泉や片山津・山代・山中の加賀温泉が有名ですが、これ以外にも温泉通に愛される温泉地は多数あり、この辰口温泉もその一つです。
今回は石川県の割引キャンペーンを利用して宿泊してきたのですが、予想以上に心地よい宿でしたので記事にしてみました。
辰口温泉まつさきの歴史
辰口温泉は奈良時代に白山を開いた泰澄によって開湯され、多くの人が傷を癒しに訪れたのですが、室町時代の頃に手取川の氾濫によって1度温泉が途絶えます。
江戸時代になり、天保7年(1836年)に、まつさきの初代・甚四郎が新源泉を発掘し「松崎旅館」を創業しました。さすが老舗旅館!今年で184年です。
そして、明治時代に文豪として知られる泉鏡花が文壇に入る前から何度も逗留して、まつさきを舞台にした「海の鳴る時」を執筆し、泉鏡花ゆかりの宿としてさらに知名度が高まりました。
第八十六期棋聖戦第二局、第六十四期将棋名人戦第六局、第六十四期本因坊戦第一局が行われた格式のある宿でもあり、今では金沢の奥座敷として親しまれ、県内外の多くの方々から愛されています。
フロントまで続く回廊
入口からフロントまで回廊になっています。入口から1歩入ると広大な日本庭園が現れます。松泉湖に回廊が架かっていて、錦鯉が何匹も優雅に泳いでいました。
ちょうど蓮の花の時期でしたので、湖の一面に白や赤の可憐な花が咲いていました。
「花鳥風月を愛でる」旅館でもあり、聞いたことのない鳥のさえずりが山奥にでも来たかのような感じで心地よかったです。
松泉湖の遊歩道
回廊から庭園に出ると、松泉湖の上に木の板で作られた遊歩道があり、散策を楽しめます。
前日は大雨警報が出ていましたが、水曜日は雨もあがり、宿に到着した3時には晴天でしたので、この遊歩道も楽しめました。
なお、夏の濃い緑と蓮の花以外に、春の桜や秋の紅葉、そして冬の雪化粧も期待できそうです。
部屋がとにかく広い!
感じの良い仲居さんに案内されたのは、新館2階の202号室で「しぎ」というお部屋です。
部屋に入ると、何ということでしょう!
あまりの広さに、思わずセレブ気分に♪
広い床の間、ゆったりとした応接室、広々としたベッドルーム、樹木が植えられた外のベランダも広く、そこから見下ろす庭園も素晴らしい。
そして、なんと!
部屋には内風呂と露天風呂という2つのプライベート天然温泉風呂がありました。これはうれしかったですね。風呂は両方とも湯口から無色透明のお湯が滔々と注がれ続けており、いつでも何度でも天然温泉を楽しめます。
部屋に風呂がついていなければ、1人2万円ほど安くなるようですが、やはり気持ちよく脱日常を満喫するなら風呂付部屋ですね。
まあ、今回は1人4万円ほどの料金が石川県の割引キャンペーンを利用して2万5千円ほどになりましたので、かなりのお得感があります。
国のGOTOキャンペーンも要検討ですね。と言っても、あくまでも県内の旅館というスタンスですが(汗
大浴場と展望露天風呂
到着してすぐに本館1階の大浴場と新館5階の展望露天風呂を確認しに行ったところ、3時過ぎにもかかわらず新館5階の展望露天風呂には先に誰かが入浴していました。
こんな時期なので、展望露天風呂はパスすることに。
それでは大浴場は?と見に行ったところ誰もいませんでした。
親戚の義兄さんと2人で貸し切り状態です♪
いやあ、誰もいない大浴場でゆったりのびのび温泉を楽しめるなんて、なんという贅沢。
目の前には巨大なガラス越しに庭園が広がり、まさに優雅な旅のひと時です。
女房と義姉さんは誰もいない女性用の展望露天風呂に入浴しており、すごく良かったとのことでした。展望露天風呂は岩風呂と檜風呂があり、1日ごとに男女入れ替えになりますので、1泊すれば両方の展望露天風呂を楽しめます。
ここの温泉は肌にやさしい弱アルカリ性の泉質で、入浴後はポカポカしていると聞いたのですが、まさにその通りというか、汗がなかなかひきませんでした。さすが天然温泉です。いいお湯です。
部屋に行く途中にレンタル浴衣が置いてありました。サイズはMとLで料金は500円でした。
大満足の懐石料理
夕食と朝食は新館1階の大宴会場でした。と言っても、他人はいません。
私たち4人だけです♪
広々とした宴会場にテーブルが設けられており、まるで国賓にでもなった感じです。
そして、肝心要の料理ですが、大満足でした。
まつさきの懐石料理が美味しいことは知っていましたが、その通りでした(笑
夕食のお品書きは次の通りです。
一 食前酒
柚子酒
一 先附
枝豆滝川豆腐 才巻き 帆立 花穂 割出し
一 前菜
栄螺雲丹和え ほおずき ミニトマト寒 オクラ生ハム巻き 茗荷寿し(木の芽)
白木耳と金時草胡麻酢和え 玉蜀黍真丈
一 御椀
能登もずく真丈 鱧葛打ち 蒪菜 加賀太胡瓜 梅肉 青柚子
一 向付
鮎 輪島港直送しま海老 赤烏賊 地あら
一 焼物
若鮎塩焼き 蓼酢 新蓮根甘酢漬
一 炊合せ
蛸柔らか煮 ダツ 加賀つる豆 打木赤皮甘栗南瓜 ふり柚子 ジュレ掛け
一 強肴
黒毛牛フィレと加茂茄子 鍬焼き 伏見甘長
一 焜炉
金目鯛包み蒸し ズッキーニ 椎茸 白山豆腐 割ポン酢
一 食事
新生姜御飯
一 留椀
浅利 葱 赤出汁
一 香の物
大根漬け 胡瓜
一 水菓子
無花果ワイン煮 ラズベリー ミント
ちなみに、「強肴」ですが、懐石料理の献立の一つで、「しいざかな」と読みます。
料理が美味しかったせいか、生ビールを5杯ほど頂きました。
朝食もレビューを見て期待していましたが、ご覧の通りで、これも大満足。
特にのどぐろの干物が美味しかったですね。普通の旅館だとカレイの干物が多いのですが、さすがまつさきです。
まとめ
一口に老舗旅館と言っても色々ですが、やはりゆったりと寛げて、美味しい食事に舌ツツミを打ち、お風呂でのんびりと日頃の疲れやストレスを洗い落とし、ゆっくりとリラックスできれば、もうそれは至福のひと時です。
今回はコロナの影響で旅館の方も大変ですが、館内は対策がしっかりとられていたので、安心して寛げました。
穏やかで、満足度の高い旅館でしたので、また行きたい温泉の一つになりました♪
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