連日の新型コロナウイルス感染で人々の心が荒んでいる中、久々に「いい話」と出会いました。
それは、人気漫画家と日本の新型コロナウイルス治療の中核を担う感染症専門医のSNS上での「20年越しの奇跡の出会い」です。
その出会いが、手洗いの大切さを呼びかける1枚のイラストとなり、新型コロナウイルスに立ち向かおうとしています。
というわけで、今回は国内外で注目を集めているイラストのお話です。
20年越しの奇跡の出会い
イラストを制作したのは「3月のライオン」の作者、羽海野(うみの)チカ先生です。ご存知のように、「3月のライオン」は中学生で将棋のプロ棋士になった少年の成長や葛藤を描きアニメや映画にもなった漫画です。
物語の発端は20年以上も前に遡ります。その当時、ある医学生が「くつ王」というペンネームで「ブルータス、おまえモカ」というタイトルのブログを運営し、医学部での日々の出来事を発信していたのですが、羽海野先生はそのブログを愛読していたのです。
あまりにも文章が面白いのでよく覗きに行っていたのですが、運営者は医師になる人だったため、多忙になり更新が無くなったそうです。
それから、何年経っても気になって、羽海野先生は時々ペンネーム等の断片で検索をしていたところ、運営者が医師になっていたことがわかりました。
羽海野先生は、なぜわかったのかよく自分でもわからなかったのだけれど きっとこれあのときのあの人だ!と思い、「わ…!!立派に…立派になられて!」とすごく驚かれました。
そして、羽海野先生は、「会ったことも無いけれど 20年も記憶の中に座っていたその主催者に何かして欲しいことは?と訊きたいけれど知り合いでもなく、今、そんな質問をしたくても病院の窓口の方にも時間も余裕も無いと思うし、知らない人からいきなり届いても少し助かるものって 何なのだろうといくら考えてもなかなか思いつかなくて」というような内容を4月17日に投稿したのです。そして、拡散されました。
この投稿は多くの人によって拡散され、翌日の4月18日には羽海野先生の投稿を知った主催者本人からコメントが届きました。
「もしブログがモカで、書いてた人がくつ王だとしたらめっちゃ嬉しいです。私も3月のライオンを日々の生きる糧にしています」と。
その主催者こそ、新型コロナウイルスの治療や対策にあたっている国立国際医療研究センターの忽那(くつな)賢志医師だったのです!
「お話しできる日が来るなんて!」と喜ぶ羽海野先生に、忽那医師は「僕の方こそ夢のようです。心が折れそうな日々ですが、羽海野先生の投稿を読んで最後まで頑張ろうと思いました」とメッセージを寄せました。
そして、色々とやりとりをする中で、羽海野先生が「何か描くことでお手伝いできないか」と申し出たところ、忽那医師が漫画のキャラクターが感染防止を呼びかけるものを描いて欲しいと依頼し、羽海野先生はその日のうちに「3月のライオン」に登場する3姉妹が手洗いを呼びかけるイラストを描いたのです。
イラストは色々と試行錯誤を重ねられ、子供たちが塗り絵できるようにした「塗り絵版」もアップされています。
このイラストは営利目的でなければ誰でも自由に使える形で公開されていて、アニメ版「3月のライオン」で主人公の零を支える3姉妹の次女ひなたを演じた声優の花澤香菜さんが声を吹き込んだ動画もアップされています。
なお、羽海野先生のイラストは多くのフォロワーにより、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、スウェーデン語、ロシア語、中国語、韓国語、それにインドネシア語などさまざまな言語に翻訳され、国内外に広がっています。
イラストのダウンロード
手洗いの大切さを呼びかけるイラストは、「3月のライオン」公式サイトからダウンロードできます。
イラストの二次使用に関しては、次のとおり営利目的以外であれば使用できます。
「営利目的以外の二次使用はご自由にしていただけます。私たちの生活を支えていただいている場所への掲示や、周りの方々への配布、お子様へ手洗いをお教えいただく際の手助けに、などご活用ください。」
・A4 もじあり(ひらがな)・文字あり(漢字)・文字なし・ぬりえ
・A3 もじあり(ひらがな)・文字あり(漢字)・文字なし
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