古き昭和の時代、スパゲティと言えば「ナポリタン」でした。そして、ナポリタンと言えば「粉チーズ」と「タバスコ」です。
あの頃は喫茶店やレストランに行きますと、必ずテーブルに「粉チーズ」と「タバスコ」が置かれていました。
というわけで、今回の記事は「ナポリタン」と「ナポリタン」の味を完成させる「粉チーズ」と「タバスコ」のお話です。
粉チーズの簡単な知識
粉チーズといえば、グリーンのパッケージが目印の「KRAFT(クラフト)100%パルメザンチーズ」ですが、この魔法の粉が日本でデビューしたのは、今から50年近く前のお話になります。
森永乳業の公式サイトによれば、1970 年に森永乳業がクラフト社と提携して、エムケーチーズ㈱を設立しており、翌年の1971年には、「クラフト100%パルメザンチーズ」がデビューしています。
そして、他社も粉チーズを出しているのに、どこの喫茶店に行ってもクラフトが置かれていたのは、やはり製品力のようですね。もちろん、それ以上に森永乳業さんの営業努力があったからだと思います(笑
市販の粉チーズには、ナチュラルチーズとプロセスチーズがあり、前者は生乳や食塩や凝乳酵素が原材料のもので、後者はナチュラルチーズを溶解・再加工したものです。また、パルメザンチーズはパッケージに記載されているとおりナチュラルチーズです。しかも、保存料不使用・セルロース不使用です。
ナチュラルチーズはプロセスチーズとくらべて香りがよくチーズの味が濃く、コクや香りが料理の味をさらに引き立てます。
「クラフト100%パルメザンチーズ」は、ナチュラルチーズにこだわりました。米国産のパルメザンチーズを100%使用したナチュラルチーズを使用したからこそ、他社のプロセスチーズからできている粉チーズを凌駕できたのだと思われます。
タバスコの簡単な知識
魔法の液体であるタバスコは、アメリカのルイジアナ州にあるエイブリー島に本社がある「マキルヘニー社」が1865年に考案しました。原材料は、唐辛子(タバスコペッパー)、岩塩、ビネガー(穀物酢)です。
唐辛子に塩を加えてすりつぶし、ペースト上にします。そのペーストを樽に入れて、貯蔵庫で3年間寝かします。3年経過すると発酵の過程で、水分はほとんど抜けてしまいます。唐辛子のペーストと酢を約3週間かけて混ぜ合わせ、最後に不純物を取り除くと完成です。
ちなみに、タバスコはマキルヘニー社が持つ商標で、一般名称としてはペッパーソースが適切だそうです。でも、タバスコはタバスコじゃないかと。ペッパーソースと言われてもねえ・・・
タバスコが最初に日本に入ってきたのは、第二次世界大戦後の1940年代といわれていますので、かなり昔からあります。
その後、喫茶店やレストランなどに置かれるようになり、一般にも認知されるようになるのですが、プロレスラーのアントニオ猪木が経営していたアントントレーディング社が1970年代に代理店契約を結び、タバスコの輸入権を一時期購入して、日本人にタバスコを定着させました。
ナポリタンを食する作法
いやあ、画像を見ると、ホント、無性に食べたくなりますね(笑
ところで、みなさんはナポリタンをどうやって食べますか?
いきなり粉チーズとタバスコを全体にかけて食べていませんか?
と質問している私自身がそうでした。粉チーズなんかはナポリタンの表面に雪が積もったかのように見えるくらいかけていました。しかも、表面の粉チーズが少なくなったら、さらに追加でふりかけ!
というのも、何もつけないとバラバラ感の強いナポリタンに、粉チーズの風味、旨み、コクが全体の味を引き立て、バランスを整え、さらにタバスコの酸味と辛味を投入することでナポリタンが名実ともにスパゲティの王者として完成すると思っていました。
ですから、当然のように粉チーズとタバスコを思い切りかけてほおばっていました。
しかし、これは素人というより、粉チーズとタバスコの間違った使い方らしいです(汗
いきなり粉チーズとタバスコを全体にかけて食べると、最初から最後まで同じ味わいになってしまうので、「通(ツウ)」の方は段階的にかけるそうです。通の食べ方をまとめると次のようになります。
1/目の前に運ばれてきたナポリタンの具の混ざり具合などの状態を確認したうえで、まずは何もかけずにナポリタンを食べて、それ自体の味わいをしっかり確かめます。
2/ある程度食べたあと、麺をフォークで巻いてから少量の粉チーズやタバスコをかけて食べます。こうすることで、口の中に粉チーズやタバスコの味が一気に広がってしまうのを防ぎます。粉チーズとタバスコをかけたフォークで麺を巻いて食べる方法もあります。
この方法でナポリタンを食べると、1つのナポリタンで何段階もの変化した味が楽しめます。
ようするに、最初からドバッとかけるのではなく、途中でちょっと食べ飽きてきた時に、味に変化をもたらす魔法の粉と液体である粉チーズとタバスコをかければ、ナポリタンは千変万化できるということです。
日本が誇るオリジナル・スパゲティーであるナポリタン&粉チーズ&タバスコには、このように奥深い意味があるのですね。
きっと、これからもナポリタンは日本のパスタ史?いいえ、スパゲティー史に名を刻み続けるでしょうね♪
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