写真提供:金沢市
猛暑も一段落して、朝晩涼しくなりました。いよいよ行楽の秋、そして美味三昧の冬が間近ですね。
今年はGoToシリーズや自治体独自のお得なキャンペーン、そして北陸新幹線の半額キャンペーンが展開されていますので、これらを利用して、石川が誇る美味しい加賀料理を味わってみてはいかがでしょうか。
ということで。今回はGoToをからめた加賀料理のお話です。
加賀料理ってどのような料理?
加賀料理は石川県金沢市に伝わる郷土料理で、京風と江戸風の食文化が融合したものです。
その昔、加賀藩の時代では武士だけでなく庶民に至るまで幅広く親しまれる家庭料理でしたが、今では家庭で作ることは稀であり、料亭や旅館で出て来る料理という高級なイメージが強いです。
庶民の味の料理が料亭の一流の食材と調理人によって作られ、豪華な九谷焼の皿や、加賀蒔絵を施した漆器など、高級な器に盛り付けられるわけですから、もちろん味は段違いで、一度は味わいたいという料理の一つになっています。
高級料亭や旅館の料理は、加賀料理というより、加賀懐石というイメージです。
加賀料理の代表的なものとして、「治部煮(じぶに)」、「蓮蒸し(はすむし)」「鯛の唐蒸し(たいのからむし)」などがあります。
加賀料理は石川県内のほとんどの料理屋さんで食べられますが、味はピンキリです。
やはり、事前にネットでレビューを確認したうえで、「ここの加賀料理は美味しい!」という評判の料亭、旅館、料理店で味わいたいものです。
治部煮(じぶに)
写真提供:金沢市
治部煮は、石川県金沢市が誇る加賀料理の一つで、石川の旅行で金沢に来られたら、一度は味わって頂きたい料理です。
金沢の高級料亭では加賀料理といえば必ずといって良いほど治部煮が出されますので、高級なイメージが強いです。
昔は冬の料理でしたが、現在では旬の素材を組み合わせ、一年を通して食べられるようになりました。
鴨肉または鶏肉、金沢特産の「すだれ麩」、しいたけ、セリやホウレンソウなどの青菜を煮て作り、薬味はわさびを使います。個人的には鴨肉を使わない鶏肉の治部煮が出されるとガッカリです。やはり、治部煮と言えば鴨肉です。
作り方としては、鴨肉をそぎ切りにして小麦粉をまぶし、だし汁に醤油、砂糖、みりん、酒をあわせることで、肉にまぶした小麦粉がうまみを閉じ込めると同時に煮汁にとろみを出すので、野菜や鶏肉の旨みをしっかり味わうことができます。
治部煮という不思議な名前の由来には様々な説があります。
①安土桃山時代、豊臣秀吉の兵糧奉行だった岡部治部右衛門が、朝鮮から持ち込んだことに因んだ説
②材料を『じぶじぶ』と煎りつけるようにして作ることから名付けられた説
③野生の鴨肉を使うため、フランス料理の“ジビエ(野生の鳥獣の料理)”から変化した説
しかしその真相は、未だ分かっていません。
蓮蒸し(はすむし)
写真提供:金沢市
蓮根をすりおろして固めてから蒸し、あんをかけた料理です。加賀料理としての蓮蒸しは、加賀野菜の一つである「加賀蓮根(小坂れんこん)」を使うのが特徴です。
通常は、蓮根に卵や片栗粉などのツナギを使うのですが、加賀蓮根は粘り気が強いため、ツナギを使わなくても形になります。
作り方は、すりおろした蓮根にタイやタラなどの旬な白身魚や百合根などの具を入れ蒸し上げ、とろみがかった醤油ベースのあんをかけます。
蒸したらよりデンプンが糊化し粘り気が増しますので、餅を思わせるような食感を美味しく味わえます。
なお金沢市民はれんこんを好み、平成23年~25年の総務省統計局調査によると全国1位の金額を記録しています。
鯛の唐蒸し(たいのからむし)
写真提供:金沢市
鯛の唐蒸しも代表的な加賀料理ですが、料理に手間がかかることから、一般の家庭で作られることはほとんどなくなりました。
今では格式ある高級料亭や高級旅館などで催されるお祝いに提供されることが多いのですが、予約が必要となっています。
ぶらりと入って、「鯛の唐蒸しちょうだい」と言っても食べられません(笑
尾頭つきの鯛を背開きにし、人参、ごぼう、きくらげなどを入れて煮た五目おからを詰めて蒸したもので、武家文化の名残りを色濃く残す加賀料理の一つです。
腹開きではなく、背開きにしたのは切腹を連想させ縁起が悪いからで、このあたりが武家文化の名残りと言えます。また、鯛の御腹に、おからをぎゅうぎゅう詰めにするのは子宝に恵まれるように、という願いからです。
加賀料理には石川の美味しい海の幸と加賀野菜
写真提供:金沢市
石川が誇る加賀料理は美味しい食材から成り立っています。
まず、加能ガニ、香箱ガニ、甘エビ、のどぐろ、寒ブリ、加賀野菜は外せません。
加能がに
写真提供:金沢市
石川県で水揚げされるズワイガニのうち、既定サイズをクリアしたオスのズワイガニを「加能がに」と呼びます。
「加能がに」はサイズが大きく、太い脚に身がぎっしり詰まっており、食べ応えがあります。
「加能がに」の漁の期間は3月20日までです。
香箱がに
写真提供:金沢市
石川県で水揚げされるズワイガニのうち、既定サイズをクリアしたメスのズワイガニを「香箱がに」と呼びます。
「香箱がに」は、メスにしかない「内子」と呼ばれる卵巣の部分で味わいが濃厚な部分と、「外子」と呼ばれるプチプチとした食感の卵の部分を楽しめます。
「香箱がに」は出回る期間が短く、県外ではメジャーではありませんが、地元では「香箱がに」を好む人が多くいます。私は味が繊細な香箱派です。
あくまで個人的なイメージですが、温泉旅館が「加能がに」で、料亭が「香箱がに」という感じです。
「香箱がに」の漁の期間は12月29日までと短い期間のみの貴重なカニです。
甘えび
写真提供:金沢市
「甘えび」はカニと並ぶ金沢港の代表的な海産物であり、全国トップクラスの水揚げを誇ります。能登半島沖合の深い海底に生息し、雄として生まれ、5歳前後からは雌に変わるという不思議な生態を持つエビで、寿命は実に11年以上とも言われています。
素材そのものを食べるには、やはりお刺身がおすすめですね。ホント、トロリと甘くて美味しいです。エビの味噌も美味しいので、頭の海老味噌もチューっと吸って食べて下さい。
「甘えび」は香ばしい焼き物でも美味ですし、頭はお味噌汁やお吸い物の出汁にも使われていますので、余すとこなく食べられる美味しい食材です。
のどぐろ
写真提供:金沢市
「のどぐろ」は、アカムツという白身魚です。
今では超高級魚になった「のどぐろ」ですが、子供の頃は脚光も浴びておらず、普通の魚という存在でした。それが数年前から知る人ぞ知る存在になり、グルメの間で注目が高まったことにより、超高級魚の栄冠を得たのです(笑
まあ、確かに脂ものっていて美味しいですね。
一般に白身魚と言えば、濃厚さはなくサッパリとしていますが、「のどぐろ」の場合は脂がのって旨味たっぷりの味わいで、「白身のトロ」と呼ばれています。
1年中、「のどぐろ」を味わえますが、金沢では晩秋から冬が最もおいしい「のどぐろ」の時期として人気があります。これからの季節ですね。
ぜひ、味わって下さい。
寒ぶり
写真提供:石川県
加能がに、香箱がに、甘えび、のどぐろ、まさに冬の石川県は美味しさの目白押しです。
しかし、ここで忘れてはいけない冬の美味しい1番食材があります。
それは、「寒ぶり」です!
個人的には、「寒ぶり」なくして冬の美味しさを語れません。ぶりの子供のフクラギやコゾクラと違って、ぶりは脂がのっています。その中でも「寒ぶり」はワンランク上です。
ぶりは一年中食べられますが、秋頃から越冬と産卵のためにエサを活発に食う「荒食い」 を始めます。荒食いを始めて、脂がのりにのったブリが11月頃に、北海道から日本海まで南下してくるのです。
この11月末~2月頃に水揚げされる肥えた天然の親ブリのことを「寒ぶり」と呼びます。
普通のブリと「寒ぶり」とでは見た目が全く違います。普通のブリはスラッと痩せていますが、「寒ぶり」は脂がのりに乗っていますので、丸太のようにデップリと丸味を帯びています。
脂のサシも違い、普通のブリはお腹の部分のみ脂が乗っていますが、「寒ぶり」は背中までサシが入ります。
また、養殖物と違って天然物の「寒ぶり」は、身がしまっていて、脂もうま味たっぷりで、食べたときの口当たりが最高です。
刺身はもちろん、海鮮丼、ぶりしゃぶ、照り焼きなど、想像しただけでもよだれが出てきます(笑
加賀野菜
写真提供:金沢市
最近は野菜のブランド化が進んでいますが、基準を満たすものだけが加賀野菜として評価されます。
加賀野菜の認定の条件は、1945年以前から栽培され、現在も主として金沢で栽培されていること。そして、需要に応じて供給できる体制が整っていることが条件になっています。条件をクリアした良品は認定シールを貼って出荷されます。
加賀料理に使われる有名な加賀野菜には、加賀れんこん(小坂れんこん)、加賀太きゅうり、加賀つるまめ、五郎島金時、金時草、打木赤皮甘栗かぼちゃ、源助だいこん、二塚からしな、ヘタ紫なす、金沢一本太ねぎ、たけのこ、せり、赤ずいき、くわい、金沢春菊などがあります。
いずれも、加賀料理には欠かせない、美味しい食材です。
お得なGoToキャンペーン
今年はGoToシリーズや自治体独自のお得なキャンペーン、そして北陸新幹線の半額キャンペーンが展開されていますので、これらを利用しない手はありません。
ここでは、旅行の申し込みができるサイトを参考までに掲載しておきます。
なお、GoTo関係の制度詳細につきましては、国の公式サイトをご確認下さい。
料亭や旅館で本格的な加賀料理を味わう
先述しましたように、加賀料理はどこの料理店でも味わえますが、せっかくのキャンペーンですから、のんびりと温泉にでも入って加賀料理を味わってみてはいかがでしょうか。
以下は穏やかなラポンで記事として取り上げた温泉地などです。参考にして下さい。
※この記事に掲載されている情報については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。